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宮部みゆき評_『捏造の科学者 STAP細胞事件』須田桃子著

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読売新聞掲載の「本よみうり堂」の読書委員に宮部みゆきさんが加わったようです。

今日の日曜版に書評が掲載されていました。

 

捏造の科学者 STAP細胞事件 須田桃子著

評・宮部みゆき(作家)

 夢のSTAP細胞は、事件として終ってしまった。期待が大きかっただけに失意も深く、犠牲者が出たことも痛ましく、早く忘れてしまおうという空気が濃いなかで、本書はその全容をまとめた丁寧なルポルタージュである。昨年1月の華やかな記者会見から、疑義の発生、論争と検証の展開を時系列で記し、年末には論文執筆者自身の手で行われた検証実験の結果が出る予定だ、というところまでカバーしてある。科学記者として、難しい問題点をできるだけ噛み砕いて解説しようという著者の姿勢も親切で、カラー写真や図版が理解を助けてくれる。

 19世紀の生物学者トーマス・ヘンリー・ハックスレーは、『誰が正しいかではなく、何が正いかを問うべし』と言ったという。それは科学者にとって、もっとも理想とされる姿勢だろう。でもその一人一人は人間で、人間には情があり、希望がある。つまり心がある。心にとって、理想とは時に残酷なものだ。著者が事実を追いかけ記事を書きながら、事件に巻き込まれ、当事者の一人になってしまった尊敬する科学者の心情を思いやり、つい涙してしまったというくだりでは、私も胸が詰まった。

 本書の帯には、『誰が、何を、いつ、なぜ、どのように捏造したのか?』とある。これは、推理小説のプロットを組み立てるときの基本要素と同じだ。なかでも『なぜ』は、『この行いによって利益を受けるのは誰か』という、謎の核心に直結する。

 推理小説を読むように本書を読了し、悲しみと共に愕然とするのは、STAP細胞事件には、この『利益を受ける誰か』が存在しなかったということだ。誰にもいいことがなかった。誰もが傷ついた。犯罪がペイしないように、捏造もまたペイしない。それは希望のみを優先し、地道に一歩ずつ現実を切り開く科学的なものの考え方に背く行為であり、結果として、大切だったはずの希望をも打ち砕いてしまうのだ。

 

 

 これからの時代、もっともっと女性の活躍の場が必要だと思っている私は、小保方氏が華々しく登場した時、

若い女性の台頭に心からエールを送っていた一人でしたから、このお粗末な結果はとても残念に思っています。

 上滑りではない血のかよった宮部さんの書評にとても感銘を受けました。

この問題の関係者の方々には、地道な心の回復を祈るばかりです。